会計学とは、アカウンタビリティ(説明責任)の学問である。
会計は現代人必須の教養だ!「時価会計」「国際会計基準」とはどのようなものか。活発化している企業買収で、会計はどの
ように機能しているのか。組織の意思決定、経営戦略に活用されている管理会計とは何か。コーポレート・ガバナンスを会計制度はどのように実現するのか。かつて、日本の高度成長の背景にあった会計制度の特徴とは―。アカウンタビリティということのエッセンスを、専門知識なしでまるごと理解できる、すべての社会人必読の書。
本書、あらすじより
本書では、会計(主に簿記)の基礎、会計の成り立ち~現在まで、
また未来に向けた新しいアカウンタビリティの提示まで、
まさに会計の過去~現在~未来を一冊の本にうまく纏めています。
ビジネス書や自己啓発書とは違うのでうまくまとまらないのですが、
教養としてエッセンを3つほど纏めてみようと思います。
自分への覚書として、本文よりエッセンスを
1.資本主義=会計
会計の成り立ちの中で、”会計は、資本主義そのものである”と筆者は説明します。
有限責任である株式会社の普及とともに資本主義は発展しました。
株式会社の利益は分割出資した株主たちに配分されますが、適正に配分するためには
株主の出資内訳、それに応じた利益配分が適切に計算されなければいけません。
そのためには適切な決算を行う会計の発展が必須だったと筆者は説明します。
出資者がどこに投資するのかを検討するには複数の企業を比較する基準が必要です。
扱う品物や産業が違う企業を比較検討するために、共通の言語(リンガ・フランカ)として発展したのが複式簿記であり会計なのです
会計は資本主義の発展とともに広がっていきましたが、広がり方は国によって様々です。
英国は、会計の先進国だったため、明確な会計基準は存在せず、
「真実かつ正確な概観」によって貸借対照表を作ることのみ求めていた。
一方で、後進国であったドイツでは会計についての基準が法律に規定されている。
同様に会計後進国であった日本もドイツを模範として会計制度を作成していく。
面白いのが、当初の株式会社というのはB/S(貸借対照表、当時は財産目録表)で決算を行っており、IFRS(国際財務報告基準)が求めている時価評価に近い方法で資産負債の評価を行っていた点である。
これは、出資者が求めているのが、決算時点で株式会社を解散した場合、
どれだけの利益(= 資産 - 負債)が株主に還元されるのかを求めていたからである。
2.アカウンタビリティの変容による会計の変更
株式会社のアカウンタビリティ(説明責任)も時代とともに変容していきます。
財務諸表の歴史(企業運営に必要な書類の変化)
① 財産目録表(時価評価主義)
② 貸借対照表(複式簿記、取得原価、連結決算)
③ 貸借対照表、損益計算書(同上)
④ 国際会計基準(時価会計、概念フレームワーク)
①は、投資家の為の会計でしたが、
②、③になると、投資家に任された経営者の為の会計となり
④でまた投資家の為の会計と回帰してきています。
また、①と④で書かれた時価評価は言葉は同じですが意味会いが違い、
①の時価評価主義は、現時点で資産を売却した場合の評価に対して
④の時価評価は、将来この資産負債で発生する損益を割り戻した評価
となっており、④ではあくまでも②から続く継続性の原則に則って会計を行っているのがわかります。
当初は、株主にどれだけの利益が還元されるか、
が求められていたためB/S(時価評価)が会計の基本でした。
ただ、企業が継続して行くようになると、株主は今現在の精算益よりも、
これから企業がどれだけの利益を生むのかに焦点が置かれるようになります。
3.さいごに
会計は、資本主義の発展により沿ってきた学問です。
投資家が投資先企業を選定するための共通言語(リンガ・フランカ)
として通貨を使用した財務諸表を作成してきまた。
時代の考え方とともに形や評価方法は変わっていきましたが、
本質である投資家へ有用な情報を伝えるというアカウンタビリティ(説明責任)
は変わっていないと思います。
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